鑑賞

描いていた、が故に、書き留められなかった時間――日比野克彦個展「ひとはなぜ絵を描くのか」

3331アーツ千代田での個展。近年はワークショップやプロジェクトを中心とした活動で知られる日比野克彦が世界中を回って描き溜めたドローイングと、80年代初期、デビュー当時のコラージュを俯瞰する、絵画に特化した展示である。私の抱いている彼の印象とは…

クリストとジャンヌ=クロード展  共同制作について

クリストとジャンヌ=クロード展 LIFE=WORKS=PROJECTS http://www.2121designsight.jp/candj/index.htmlもしあなたが、六本木アートナイトの夜にここでむせび泣いている女の子を見かけていたとしたら、それは私だったかもしれません。 公私ともに長年クリス…

MOT コレクション 特集展示 岡粼乾二郎[後期] 観てきました

はじめに告白しておくと、私は作品を鑑賞するということがあまり好きではない。 その中でも特に、大きな美術館で催される若手作家の紹介が苦手だ。作品や作家の善し悪し以前に、それを巡るさまざまな政治的・商業的・野心的目論見と、その介入を意にもとめな…

作家「名」についてのメモ

見る度に複雑な気持ちになるもの:・ある手先の器用さを再生可能にしておくために付与されたインデックスとしての作家名、 ・ある現象の部分として取り出すために付与された作家名。

制作と作品、その読解についてのメモ: 卒業|修了2010開催時の日記より

ブランショがエクリチュールについて書いている、「他者によってたしかに受け取られるということを保証しえないような「純粋な」喪失としての贈与」、美術作品もまさにそれで、私たちは誰に届くとも受領されるとも知れないものを必死につくっている。誤解を…

「No Man's Land」@フランス大使館

去る25日、フランス大使館跡で開催の「No Man's Land」という展示のオープニングに行ってきました。「No Man's Land」はいくつかのイベントが混在する複合イベントみたいなもので、来月から芸大も「memento vivere / memento phantasma」として参加、私も展…

『eatrip』

『eatrip』という映画の試写会に行ってきました。タイトル通り、食に関する映画です。フライヤーには「人と食を巡る、映画のかたちをした、ごはん。」というキャッチコピーが添えられていますが、この映画を称して「人と食を巡る」とするのは、やや大上段に…

NEW DIRECTION展 #1「exp.」

同年代の若手作家たちの展覧会です。中でも藤本涼さん、村田宗一郎さんは大学の同期でもあり、そういう意味でよく見知った作品でもあるわけなのですが、それが他の若手作品と組み合わされたとき、どう見えてくるだろうと。時間もなかったことだし、まず私は…

鴻池朋子展『インタートラベラー 神話と遊ぶ人』

http://www.operacity.jp/ag/exh108/観てきました。鴻池さんの作品をまとめて観るのはこれが初めてです。視覚だけでなく、触覚や嗅覚、平衡感覚を含めた身体感覚を使って、一人の人間の心のなか=地球に入っていく、というストーリーで個展全体がひとつのア…

近況

■ 友人のCDジャケットデザインをしています。今のところCDジャケット、というよりハードカバー、文庫装丁の面持ち。もちょっといじくりますけれど。 画像処理は好きですが、ソフトがないせいでこれまでデザイン関連の仕事をしてきませんでした。これを期に購…

越後妻有に行ってきました。

越後妻有アートトリエンナーレ2009http://www.echigo-tsumari.jp/2009/index.htmlに行ってきました。実は私は今回が初めての妻有だったのですが、噂通り、本当に広い会場ですねー。東京23区よりも広いのだとか。全ての作品を鑑賞するには最低でも三日を要す…

金氏徹平展と原口典之展

先日、横浜で開催中の金氏徹平展http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2009/exhibition/kaneuji/と原口典之展http://www.bankart1929.com/を観に行ってきました。作品タイトルにもなっているように、金氏さんの作品は「漂白」がひとつのキーワードになっています。…