「No Man's Land」@フランス大使館

去る25日、フランス大使館跡で開催の「No Man's Land」という展示のオープニングに行ってきました。

「No Man's Land」はいくつかのイベントが混在する複合イベントみたいなもので、来月から芸大も「memento vivere / memento phantasma」として参加、私も展示をします。25日はその大枠のオープンだったわけです。何が無人なんだってくらいの人、人、人で、ゆっくりと展示を見てる余裕なんてありませんでした。だもので、荒っぽい直感的な発言ばかりになってしまいますが、このオープニングで私はまたもカルチャーショックを受けたのです。


内部から関わっていても何かと衝撃の多いイベントなんですが(笑)、フランス人にとってはアートってものがごくごく「普通」に存在して認められているんだな、ということを改めて体感してなんだか呆然としてしまいました。そこには私たち日本人アーティスト(の一部)が日頃、失望したり絶望したりしながらそれでも立ち向かっている面倒くさい障害、葛藤、ジレンマが無かった。なんて恵まれた環境。そしてその環境に安心しきっているように見えたわけです。護られてる。きっとフランスではアートは死なないんでしょう。


この呆けというのは、のびのびした作品たちをみて、ああ、それもありなのか、という、そういう気抜けです。恐らく資質という点だけでみれば、私もそうやって真っ直ぐ伸びていく可能性が大いにあったことだろうと思います。エントランスに縛られたソメイヨシノの作品がありましたが、ふと我が身を鑑みて、盆栽の幼苗みたいに針金でぐるぐると矯正されてあり得ない方向によじれ始めた奇怪な影を見ました。これもある意味幼体成熟ですね。ここはそういう島です。

それから数時間、フランスの環境が妬ましいほど羨ましかったのですが、よくよく考えると盆栽は盆栽で面白いんじゃないか、と思い直すに至りました。