MOT コレクション 特集展示 岡粼乾二郎[後期] 観てきました

はじめに告白しておくと、私は作品を鑑賞するということがあまり好きではない。


その中でも特に、大きな美術館で催される若手作家の紹介が苦手だ。作品や作家の善し悪し以前に、それを巡るさまざまな政治的・商業的・野心的目論見と、その介入を意にもとめない思慮のなさ――作品鑑賞にとって最も大きな妨げとなるノイズであり、ときに作品そのものと切り離しがたく絡み合っている――ばかりが目について、ひどく消耗するからだ。
(中小規模のギャラリーや、作家自身が運営するスペースでそう感じることはほとんど無い。展示会場が作家自身のキャパシティに見合っているかどうかということは、そう思われている以上に重要なのかもしれないと思う。)


しかし残念なことに、現代美術のまとまった展示はそういうものがすごく多い。それらを観に行くということは私にとって半ば義務であって、修行とか苦行とか、副作用を伴う苦い薬(しかも効き目があるかどうか定かではない!)を飲まされるのに似ている。歯医者に行くのと同程度に行きたくない。だから自分から進んで、しかも喜んで展示を観に行くなんてまず考えられないし、そこにある作品を嬉々として受容する美大生の気持ちも、アートファンの気持ちも、さっぱりわからないのだった。それで、「あれよかったよねー」とか「これが好き!」といったような無邪気な会話には、滅多に参加できなくなっている。


http://www.mot-art-museum.jp/collection/index.html(美術館HP)


そんな私が、もう2回くらいは行きたいなあと思わされてしまった。さっきもふと行きたくなってしまった。楽しかったのである。はじめてかもしれない。なんかちょっと持ってかれた感じで悔しいのだけれど、それ以上にほっとした。美術の良心的な部分を見た気がした。よく知っている人たちが彼を慕うのもわかったし、それは必然だろうと思った。岡崎さんが現在のような立場で活動されているのは、希望だと言えると思う。


こういう展示ばかりなら、私も美術愛好家になれるかもしれない。