あかねにて

現代思想カッティング・エッジ〜批評、美術、カオス・ラウンジ〜」黒瀬陽平 2月23日(火)19:30〜 交流イベントスペース あかね http://bit.ly/9LToBBに行ってきました。どういったイベントなのか全く理解せずに向かったのですが、アットホームなバーでの黒瀬さんを囲んだトークショウ、という感じでしょうか。店内のスペース上、登壇者(?)とお客さんの距離が近く、分け隔てられていない感じが新鮮でした。


いわゆる美術畑出身ではなく、コミュニティアート系でもない人たちが主題として美術の話をしようとする。そういった現場に立ち会うのは、私にとって実ははじめての経験だったかもしれません。そこにいらっしゃった方々の背景をあまり存じませんが、黒瀬さんを呼ぶにしても、むしろ主催の方やお客さんがどうして美術に着目したのか? といったことについてもう少しお聞きできればよかったと、後になって考えていました。


というのも、例えば日本における美術のやりにくさ――文化的な面もそうですが、特に制度的な問題を扱うとなれば、やはり「アートって何なのか」「アートに何ができるか」あるいは少し素朴に聞こえるかも知れないけれど「アートの何がどのように良いと感じるのか」といった部分を抜きにして語ることは出来ないだろうと思うからなのです。
言うまでもありませんが、制度的な枠組みは作品の内容に少なからぬ影響を与えていますし、また逆もしかりです。例を挙げるなら、レジデンスの公募にはプロジェクト型のアーティストが有利、といった状況がわかりやすいでしょうか。今後、レジデンスという制度に何か大きな変更が加えられるようなことがあるとしたら、プロジェクト系作品もまた同時にそれと併せた変更を迫られるでしょう。


黒瀬さんのそれは、今後のご自身のヴィジョンとして明確に呈示して下さったと思いますが、やはりそれに対しても、周囲の方の反応が気になりました。あくまで感触なのですが、ハイカルチャー的な美術というよりも、サブカルチャーに興味をお持ちの方が多かったご様子。私自身は一人の作り手として、平素よりアートを一ジャンルとして扱うことに違和感を感じておりますので、黒瀬さんの言うメタ・ジャンルとしてのアートという捉え方に希望を感じますが、あの場にいらっしゃった方々はどのような感想をお持ちになったのでしょうか。

このように、美術家志望の学生としては、アートがどう思われているのかとても気になっています。私からいろいろ質問すれば良かったな。せっかくアートという島に、文学の島から橋をかけようとしてくださったのですから。