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雨だ。昨日から降り続いている。まとまった雨が降ったのは震災があってから初めてのことだ。


数日前、マスクも付けずに薄着でお洒落してほっつき歩く子供たちを見た。
外国人はすぐにいなくなった。
昨日は通い付けない100均で大量の雨合羽を買い求める団塊世代のおっちゃんを見た。
水色マスクで出歩く人を見かけるようになったのも、昨日からだ。


原発に関して、何が正しい情報なのか、私は知らない。けれど、ネットをチェックしてる人たちとテレビ・新聞のみを情報源にしている人たちが、街中ですぐさま見分けが付いてしまうっていう事態に戦慄している。今、街に出るってことは、私たちの無防備さを眼前に突きつけられるってことで。


直接の身の危険というよりも、自分を取り巻くあらゆる物事(事故の状況、家族や知人やペットのこと、食材の選択、外出の方法、電車の運行状況、ガソリン・灯油の入手、経済への影響、私たちにとって意味を変えた環境というもの、展覧会のこと…)に対して常に払い続けなくてはならない途方もない注意力のことを考えると、居場所を変えた方が良いのではないかと思ったりもする。


でもこんな異常事態の中に身を置くなんて、そうそうないだろうから。今何が起きているのか、事実によって解釈が少しずつ組み換えられていく様子を、ひとつづつ丁寧にみていこうと思う。