リフレイン

頭の中に誰かいて、こちらの挙動に対していちいちああでもないこうでもないと否定的な意見を述べてくるので、私は完全に萎縮してしまって、思うように作業が進みません。胃が痛い。

それは意見なのか提案なのかルールなのか? 具体例を伴った事細かな指示が蓄積していって、そこから逸脱する可能性のある事柄を選び取ることができず、身動きがとれないのです。覚えてないから進まないのではなく、覚えていすぎるから進めない。ひとつひとつを忠実に守ろうとするから、大前提を守れない。何も考えていないからわからないのではなく、先の先を読んでいるから踏み出すことができないのです。

原因の根を説明する時間もないし、そんなことしても意味のない場面だととわかっているから、ただただ阿呆みたいに頷くことしかできないのです。誤解されてるのを十全に意識しつつ。辛酸をなめるっておそらくこういうことでしょう。辛くて酸っぱいものだとわかっていながら、それをなめなきゃならない。だから胃が痛むのです。


芸術は自由だなんて脳天気なことを思ったことは一度だってないけれど、せめて自分の作品制作くらいは誰の言うことも聞かず、結果だけを見せたいです。どんなに小さくても構わない、自分の自由になる土地を。お金なんかいらない。

一見公平で公正な形式ほど、嘘みたいなものもないです。開かれた形式がどんなに閉じているか。そのフォーマットに見合う内容だけが精査されていること、せめてその枠を設けた人間は意識すべきだし、それが言葉にならない良きものの芽を根こそぎ奪い取る構造の強化に荷担していることをきちんと認識すべきです。やるんなら、その程度の覚悟はないと困ります。